法定相続情報一覧図は自分で作れる?

作り方・必要書類・注意点を名古屋の行政書士が解説
相続手続きを進めていると、「法定相続情報一覧図」という言葉を目にすることがあります。
「これは自分で作れるの?」
「法務局に行けば作ってもらえる?」
「行政書士などの専門家に依頼した方がいい?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、法定相続情報一覧図はご自身で作成し、法務局へ申し出ることができます。
ただし、単に家族関係を図にすればよいわけではありません。
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を確認し、法定相続人を正確に特定したうえで一覧図を作成する必要があります。
この記事では、法定相続情報一覧図を自分で作る方法や必要書類、専門家への依頼を検討した方がよいケースについて解説します。
法定相続情報一覧図とは?
法定相続情報一覧図とは、亡くなった方(被相続人)と法定相続人との関係を、戸籍に基づいて一覧にした図です。
作成した一覧図と戸籍謄本などを法務局へ提出すると、登記官が内容を確認し、認証文を付した「法定相続情報一覧図の写し」が交付されます。
この写しは、相続登記をはじめ、金融機関での預貯金の相続手続、相続税の申告など、さまざまな相続手続で利用できます。
通常、相続手続では亡くなった方の出生から死亡までの戸籍など、多くの戸籍書類を提出しなければならないことがあります。
法定相続情報一覧図を取得しておけば、こうした戸籍の束に代えて一覧図の写しを提出できる場合があるため、複数の金融機関などで手続きをするときには特に便利です。
Q:法定相続情報一覧図は自分で作れる?
A:はい。自分で作成できます。
法定相続情報証明制度は、必ず行政書士や司法書士などの専門家に依頼しなければ利用できない制度ではありません。
基本的な流れは次のとおりです。
- 必要な戸籍などを集める
- 戸籍から法定相続人を確認する
- 法定相続情報一覧図を作成する
- 申出書を作成する
- 必要書類と一緒に法務局へ提出する
- 登記官による確認を受ける
- 認証された一覧図の写しを受け取る
法務局では一覧図の様式や記載例も公開されていますので、相続関係が比較的シンプルな場合には、ご自身で手続きを進めることも十分可能です。
自分で作る場合に一番大変なのは「戸籍の確認」
一覧図そのものを作る作業以上に重要なのが、誰が法定相続人なのかを正確に確認することです。
原則として、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本などを確認していきます。
現在の戸籍だけを見て、
「妻と子ども2人だから、この3人が相続人だろう」
と判断してしまうのは危険です。
過去の戸籍を確認すると、前婚の子がいることが分かったり、養子縁組が判明したりすることもあります。
また、子が先に亡くなっていて孫が相続人になる「代襲相続」や、兄弟姉妹・甥姪まで確認する必要がある相続では、戸籍の確認範囲が広くなることがあります。
法定相続情報一覧図を正しく作るためには、まず戸籍を正確に読み取り、法定相続人を確定することが重要です。
法定相続情報一覧図を自分で作るための必要書類
一般的には、次のような書類を準備します。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人の現在戸籍
- 申出人の本人確認書類
- 法定相続情報一覧図
- 法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書
このほか、一覧図に相続人の住所を記載する場合など、状況によって追加書類が必要になることがあります。
なお、相続人の住所を一覧図に記載すること自体は任意ですが、住所を記載しておくことで、その後の相続登記などで相続人の住民票の提出を省略できる場合があります。
法務局は一覧図を作ってくれる?
ここは勘違いしやすいポイントです。
法務局に戸籍を持って行けば、職員が一から法定相続情報一覧図を作ってくれるという制度ではありません。
基本的には、申出人側で戸籍などを収集し、相続関係を確認して一覧図を作成したうえで法務局へ提出します。
法務局は、提出された戸籍などと一覧図を確認し、内容が適切であれば認証文を付した一覧図の写しを交付します。
そのため、
「戸籍を集めるところから全部法務局に任せればいい」
というわけではありません。
自分で作りやすいケース
例えば、次のようなケースであれば、ご自身で作成しやすいでしょう。
被相続人:父
相続人:母・長男・長女
このように、相続関係がシンプルで、必要な戸籍も問題なくそろっている場合です。
時間に余裕があり、市区町村役場への戸籍請求や法務局への申出をご自身で行えるのであれば、専門家に依頼せず進めることも選択肢になります。
専門家への依頼を検討した方がよいケース
一方で、次のような場合には専門家への依頼を検討してもよいでしょう。
- 古い戸籍の読み方が分からない
- 転籍が多く、戸籍をどこまで取得すればよいか分からない
- 前妻・前夫との間に子どもがいる
- 養子縁組がある
- 代襲相続が発生している
- 兄弟姉妹や甥・姪が相続人になる
- 相続人の人数が多い
- 戸籍収集に時間をかけられない
- 銀行口座など相続手続をする先が多い
- 遺産分割協議書や財産目録なども併せて準備したい
特に兄弟姉妹が相続人になるケースでは、必要となる戸籍の範囲が広くなることがあり、ご自身で進めると相当な時間がかかる場合があります。
法定相続情報一覧図を作るメリット
法定相続情報一覧図の大きなメリットは、その後の相続手続きを効率化できることです。
例えば、
「銀行Aの相続手続に戸籍一式を提出して、返却されたら銀行Bへ提出する」
という方法では、手続きに時間がかかってしまいます。
法定相続情報一覧図の写しは必要な通数の交付を受けることができるため、複数の金融機関などの相続手続きを並行して進めやすくなります。
また、法務局による一覧図の写しの交付手数料は無料です。
相続財産に複数の銀行口座や不動産などがある場合には、取得しておくメリットが大きい制度といえるでしょう。
法定相続情報一覧図だけでは相続手続は完了しません
注意したいのは、法定相続情報一覧図は「誰が法定相続人なのか」を証明するための書類だということです。
誰がどの財産を相続するのかを証明する書類ではありません。
遺産分割協議を行った場合には、金融機関や相続登記などの手続において、法定相続情報一覧図とは別に遺産分割協議書や印鑑証明書などが必要になることがあります。
そのため、
「法定相続情報一覧図を取得したから、これだけですべての相続手続ができる」
というわけではありません。
まとめ|自分で作れるが、戸籍確認が重要
法定相続情報一覧図は、専門家に依頼せずご自身で作成することができます。
相続関係がシンプルで、必要な戸籍もすぐにそろう場合には、ご自身で挑戦してみるのもよいでしょう。
一方で、法定相続情報一覧図を作成するためには、戸籍を収集して法定相続人を正確に確認する必要があります。
相続関係が複雑な場合には、
「必要な戸籍が足りていなかった」
「知らなかった相続人がいた」
「一覧図を作ったものの修正が必要になった」
といったことも考えられます。
SI行政書士事務所では、戸籍の収集・相続人の確認から法定相続情報一覧図の作成、遺産分割協議書や財産目録の作成、預貯金の相続手続まで、相続手続きをまとめてサポートしています。
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